2012年11月27日火曜日

第2弾! 消化器外科 大学院

東京女子医大 消化器外科 大学院 について
前回に引き続き 第2弾!!


みなさんの気になっている大学院について、
実際に研究されている先生のお言葉がいただけましたので、
どーぞご参照くださいませ。特に研修医の先生は必見!


今回は台湾からの留学生されてきた、イーベイ先生です。


陳 怡貝 
東京女子医科大学大学院 臨床医学科 外科専攻 消化器外科分野

私は台湾秀伝紀念医院で外科医療練士四年目に、東京女子医科大学消化器外科高崎健教授と山本雅一教授のご講演を聞く機会に恵まれました。内容は「消化器がん外科治療と最先端がん治療方法」であったが,外科手術ばかりではなく放射線療法、化学療法に第4(分子標療法)と第5(免疫療法)などと協調して治療をたてる時代となってきてという内容に感激したことを覚えてます。それで、私は先端がん治療技術を勉強するために,2009年に日本へ留学することを決めました。医院の院長と指導教官の推薦で日本に来ました。

私の研究テーマは早期肝細胞癌におけるGPC3の発現を調べ,さらにそのGPC3の癌細胞における役割を検討します。私は、1995年から2010年にかけて切除肝癌のうち高分化型HCCと診断された103113結節を調べました。それらを高分化型HCCの組織学的肝癌取扱い規約に準じ、早期(小結節境界不明瞭で高分化型、58結節)、結節内結節(高分化型HCCの内部に一部中分化型、40結節)および大型(高分化型だが腫瘍径3cm以上、15結節)の3つに分類しました。Glypican3抗体を用いて免疫染色を行い、30%以上を陽性、1029%を弱陽性、0-9%を陰性としました。今回の検討で早期肝細胞癌の51%GPC3発現がみられました。また、早期肝細胞癌の一部にすでに進行肝細胞癌を伴う結節内結節では73%、全体が進行肝細胞癌(晩期肝細胞癌)では80%のGPC3発現が見られました。このことからGPC3は肝細胞癌の早期肝細胞癌の段階から多段階発癌に関与している可能性が示唆されました。特に,早期肝細胞癌に発現するGPC3は、発癌のシグナル経路を開始させる可能性があります。そうであればこのシグナル経路を担う分子の抑制剤を用いて発癌を抑制することが可能になります。今後、この早期癌をアポトーシス誘導に向かわせる方法をGPC3シグナル伝達経路から検討していきたいと考えています。

       今までのこの貴重な大学院の4年間の時間はあっという間でしたが、大変有意義な時を過ごすことが出来ました。これも、多くの先生方の御指導によるものと大変感謝しております。大学院で学んだことを基礎に、これからも臨床に加え研究の方も進めて行きたいと思っております。

2012年11月20日火曜日

消化器外科 大学院 について


久しぶりのブログ更新ですが、
ここでみなさんの気になっている大学院について、
実際に研究されている先生のお言葉がいただけましたので、
どーぞご参照くださいませ。特に研修医の先生は必見!

当院は早稲田大学との連携によってより高度な研究も可能となっています。
(詳しくは右のリンクを参照してください。

ちなみに当院の大学院制度については通常とは違い
①錬士大学院
 医療錬士期間(⇒リンク参照)に大学院に入学すると
 錬士として臨床を継続しながら(給料をもらいながら)
 研究も並行して行える。
②大学院
 医療錬士にはならず、大学院のみに専念する。
上記2つのパターンがあります。
各々が教授と相談の上、希望にそった形で研究、臨床と行えるのが特徴です。
医局にはそれぞれの先生が多数いらっしゃいますので、
見学の際にでもお尋ねください。


今回、お言葉を頂戴した小貫先生は
医療錬士を修了しその後、大学院へ進まれた先生です。


東京女子医大消化器外科38期 小貫建一郎

私は東京女子医大病院消化器外科医療練士として6年間研修を行った後に消化器外科大学院に入学をしました。入学を決めた動機は、消化器癌の様々な分子生物学的基礎知識を学ぶことが今後の自分の外科治療において大きな助けになるのではないかと考えたからです。
  
 大学院での研究テーマは胆道癌の分子生物学的悪性度に関するものでした。具体的には胆道癌に対する分子標的治療の検討や悪性度の指標となるバイオマーカーの開発を行いました。基礎実験は全て自分で行うため、細胞実験や動物実験での様々な基本的なテクニックを数多く習得することが出来ました。
 
 研究成果としては、動物実験の段階ですが肝内胆管癌に対する分子標的治療の有効性や胆嚢癌の悪性度の指標となるマーカーの有効性を示すことも出来ました。
  
 私は3年間臨床からは完全に離れ基礎研究を行っておりましたが、基礎研究に集中することで色々と勉強する時間や考える時間を多く取ることが出来ました。そういった時間は多忙な臨床生活では得難い大変貴重な時間であったと思います。その反面長く臨床から離れることで外科医としての不安や焦りを感じる方は多いと思いますが消化器外科系の大学院は臨床と密接した研究が可能であり、私はそういった不安をあまり感じることなく大学院生活を送っておりました。

大学院生活を振り返ってみると、年という期間はあっという間に過ぎ去ってしまい、気がつくともう卒業といった具合でした。年の間で研究が上手くいかずに悩んだことや、研究を通して様々な方と交流を持てたこと等は自分にとって大変貴重な経験となっていると思います。現在私は臨床に戻り、外科医として再び臨床に日々携わっておりますが、大学院で得た知識や経験が診療の助けとなっていることは多々ありますし、今後はそういった知識や経験を臨床に活かしていきたいと考えております。